DRM受信コンバーターの製作
(KENWOOD R1000受信機に内蔵してDRM受信)

2007年1月12日(土)

短波のDRM(デジタルラジオ)を受信するには、Dreamというソフトを使用すればよいのですが、このソフトは、12kHzセンターのCOFDMを復調するソフトですので周波数コンバータが必要になります。また、受信機に要求されることとしては、OFDM波の周波数帯域が10kHz程度であるため、IF帯域がそれ以上の幅があることが必要です。そういうわけで一般のAMラジオは6kHzくらいですので使用できません。

自作受信機のIFは一応ワイドバンドになっていますので使えるのですが、IF10.5MHzから12kHzに受信するには水晶発振によるクリコンが必要になり、水晶発振子は特注になってしまいます。

そこで簡単にできる方法はないかと考えた結果、ローカル発振をLCで行けそうな455kHzのIFの受信機を用いることにしました。丁度トリオのR1000というゼネカバ受信機がありましたので、これを使用します。IF帯域幅はAMワイドは12kHzでバッチリです。



まず、IF455kHzを12kHzに変換するには、ローカル周波数は462kHz、または443kHzにする必要があります。R1000は逆ヘテロダインですので462kHz必要になります。コイルはAMラジオのIFTを使用してFETで発振させます。周波数安定度は1分200Hz程度であまりよくありませんが、実験なのでよしとしましょう。ミキサもFETで簡単にすませ、出力はRCのローパスフィルタでカットオフ周波数は30kHzとしました。


★自作した455kHz→12kHzコンバータ。FET 2SK241x2個の簡易型


★簡易型コンバータの回路図



R1000受信機からの455kHzIFの取り出しは、AM検波の前段のトランジスタのエミッタフォロアがありますので、下のポイントから取り出します。



早速受信してみます。朝の17MHzのRNZIにチューニング。信号はR1000のSメータが9くらいで強力です。本機出力をPCに入れてみました。ところがSNRは10dBくらいしかとれません。信号は十分なのですが、地上デジタル放送と同様、信号強度よりもSNが大事ですのでコンバータ部を調整します。まず、コンバータ出力をPC経由、耳で聞いてみると音が歪んでいるような感じなので抵抗でミキサ入力のインピーダンスを下げ、次に局発レベルの調整をします。このあたりの調整は、Deramのスペクトラム波形を見ながら行います。OFDM波形の帯域のエッジ部分が雑音から垂直に分離できるように調整します。こういう調整でSNRは10dBくらい簡単に変わるようで、かなりよくなりました。

夕方の、9.89MHzのRNZIを受信してみました。信号はかなり強力です。SNRは大体20くらいとれて受信成功です。以下のような画面になりました。他にも受信してみたいのですが適当な局がなかなか見つかりませんね。

受信した感想は、綺麗に聞こえて面白いのですが、フェージングにはかなり影響を受けます。ちょっと悪くなると必ず音が途切れますのであまり短波向きではないような感じがします。中波ならばバッチリなんですが。



★受信音MP3(2MB)

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